第10回表面処理について

第10回
表面処理について

2023年05月24日

今回は表面処理について説明いたします。

1.アルマイト処理

普通アルマイト、硬質アルマイト、超硬質アルマイト処理

電気分解を利用して人工的に酸化被膜を生成するためのものになります。
大気中でも酸化被膜は形成されるが、その膜厚は0.002μm(2ナノメートル・20オングストローム)と非常に薄く使用環境によっては腐食します。十分な膜厚を得るために人口的な酸化処理が行われ、対象物が陽極で酸化されることから陽極酸化処理(アルマイト)と呼ばれています。

また、普通アルマイトは6μm以上が一般的で、さらに電解液と電流時間を変えることで膜厚を厚くしたり、硬度を高めることが出来ます。耐摩耗性が必要なシリンダー材や外観部品に使用されるものの多くはアルマイト処理が施され、耐食性、硬度、耐摩耗性の向上の他に絶縁性を持つことも特徴の1つとなります。

 

封孔処理

アルマイト後にできた表面の微細孔を閉じる処理です。この微細な孔は化学的に活性のため、酸素や他の化学物質と反応しやすい状態にあります。そのため放っておくと腐食や変色してしまうため、又物理吸着性も高くゴミや油などが入り込みやすくなります。

これら問題を解決するためにアルマイト処理後は一般的に封孔処理が行われ、水和反応時の体積膨張を利用して孔をふさぐ方法や、ニッケル化合物で孔を閉じる方法などがあります。

カラーアルマイト(染色法)

アルマイト処理後にあいた無数の孔に染料を入れることで着色します。染料によって様々な色を出すことができます。 中でも黒アルマイトについては厚い膜厚が必要になるため、処理がかかり他の色よりも価格は高くなります。 膜が薄いと孔に入る染料の層も薄くなるため、色が薄くなります。

2.化成処理

アロジン(アルサーフ)(三価クロメート処理)
化学的にアルミニウム表面に酸化皮膜を生成させる処理です。化成処理の種類はいくつかあり、アルミニウム合金にはアロジン処理が行われます。アルマイト処理と異なり生成される膜厚は0.1μm程となり、耐食性、耐摩耗性は劣ります。

ただし、電解する必要がなく化成処理の工程も短時間で済むため、処理コストが安いという特徴があります。 アルマイト処理ほど耐食性や耐摩耗性を必要としない製品の保護膜として利用されます。

また、塗装との密着性も優れるため塗装の下地処理にも使用されています。処理後も導電性が得られることもアルマイト処理とは異なる点です。

3.メッキ各種

ニッケルめっき、ニッケルクロムめっき
めっきは材料の表面に他の金属を析出させることで、材料を金属皮膜で覆う表面処理です。アルマイト処理がアルミ材料の表面そのものを酸化させ保護する事に対し、めっきは材料とは異なる金属皮膜を覆う処理です。めっきの種類には大きく分けて以下2つあります。

電解めっき

電気分解の酸化還元反応を利用した処理になります。陽極側では酸化反応が起こり金属イオンが溶け出します。 その金属イオンを陰極側で受け取り還元反応で金属が析出します。

アルマイト処理が陽極側で酸化させ皮膜を形成することに対し、めっきは陰極側の還元反応で材料表面に金属を析出させます。 析出した金属が表面を覆いめっき処理となります。

無電解ニッケルめっき

電気めっきと原理は同じだが電気を使わず、溶液中に含まれる還元剤の作用で被めっき物に金属を析出させています。 また、電気を通さないプラスチックなどにもめっきが可能です。ただし皮膜は薄く、表現できる色も少ないです。

弊社協力メーカー様にて上記表面処理の対応いたします。 今後も鋳造に関する情報を発信いたしますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

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