第19回ダイカストの肉厚・抜け勾配について

第19回
ダイカストの肉厚・抜け勾配について

2024年02月12日

今回はダイカストの肉厚・抜け勾配について説明いたします。

ダイカストとは、金型に溶湯を高速・高圧で圧入することで寸法精度の高い鋳物を生産する鋳造法です。

1.肉厚とは
肉厚とは製品の厚みのことです。
肉厚が厚ければ製品の強度・剛性が高くなりますが、ダイカストの場合は湯流れ性や凝固時間に影響します。
鋳造時には金型内を溶湯が流動し隅々に行き渡りますが、肉厚が薄ければ金型内を流動中に
溶湯が冷え固まり、製品形状が欠落することがあります。(湯回り不良)
また、肉厚が厚過ぎると凝固時間が長くなる、指向性凝固が効かなくなるといったことが影響し、
内部組織の悪化や製品内部の欠陥発生が懸念されます。(ヒケ巣)
※指向性凝固:一定方向に順次凝固させること

ダイカストの一般肉厚は小型:2.5~3mm、大型:3.5~5mm程度となります。
厚肉部は徐肉し均一な肉厚とすることでヒケ巣の発生を抑制できます。
肉厚の均一化により強度・剛性が低下した場合は、リブを設置することで、厚肉部を減らした状態で
強度・剛性を保つことが可能となります。
リブは湯流れ性を助長させる為、薄肉部の湯回り不良改善も見込まれます。

 

2.抜け勾配とは
抜け勾配とは金型から製品を取出し易くする為に取出し方向に傾斜をつけることを指します。
抜け勾配が不適切な場合は金型と製品がくっつき金型から取出す際に製品に傷が付きます。(カジリ)
また、上記の離型抵抗により製品が変形することがあります。(歪み)

勾配の量は材質・形状に依りますが一般的には1.5~2°となります。
形状的に抜け勾配設置が不可な場合は、部位によっては金型のスライド中子で対応することは可能ですが、
スライド中子追加による金型費アップとなります。
また、抜け勾配設置の基準位置により製品寸法が変わりますので設計者との打合せが必要となります。

3.当社実績
最小肉厚:1.0mm
最小抜け勾配:0.5°

湯回り不良・ヒケ巣・カジリ・歪み等でお困りの場合はホームページよりお問い合わせください。
お客様のお困り事を解決し、提案できる営業スタッフがお待ちしております。

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