第20回タップ加工の種類について

第20回
タップ加工の種類について

2024年04月01日

今回はタップ加工の種類について説明いたします。
タップとは、穴の内側にネジ山を刻む加工方法です。

1.切削タップ(カッティングタップ)
  切削タップ(カッティングタップ)は穴の内側にネジの溝を掘り下げてネジ山を成形します。
  切削の為、掘られた部分が切粉となります。

  一般的なタップ加工で下穴加工後にタップ加工を行います。
  メリットとしては様々な材質に使用できます。

タップ

2.転造タップ
  転造タップは穴の内側にネジ山を盛り上げて成形します。
  谷とする部位を潰して押し出された部位をネジ山に成形する為、切粉が出ません。
  切削タップに比べ使用頻度は少なく、精度の高い下穴が必要となります。
  メリットとしては材料のファイバーフロー(繊維状金属組織)が切れず密度も上がる為、
  切削タップと比較し最大で1.5倍強度が上がります。
  デメリットとしては下穴径が小さくなると加工中のトルクが高くなり刃物を破損する恐れがあります。

3.ダイカスト提案事例
  ①漏れ対策
   内部にオイルが入る部品でタップ加工後にタップ部からの漏れが発生しました。
   ダイカストの表面には、チル層と呼ばれる微細な組織で形成された層があります。
   チル層は溶湯が急冷されることで生じる緻密で非常に硬い層ですが、表面より0.5mm程度しかありません。
   切削タップは緻密なチル層を除去してしまい製品内部の鋳巣が露見することで漏れに繋がりやすくなります。
   そこで下穴加工を廃止・転造タップ化を提案いたしました。
   下穴加工廃止・転造タップ化により緻密なチル層が残ったままネジ山を成形できた為、
   タップ部からの漏れも改善できました。
  ②強度対策
   部品交換時のオーバートルク対策でタップ加工後にヘリサートを挿入していましたが、
   ヘリサート代とヘリサート挿入工数が発生し製品コストが上がっていました。
   そこで転造タップ化によるヘリサート廃止を提案しました。
   理論上は切削タップの1.5倍の強度が出せる為、オーバートルク対策となりヘリサート挿入工数を省ける為、
   製品コストを下げれます。
   今後、強度テストを行い問題なければ採用いただく予定です。

加工後の漏れ、強度でお困りの場合はホームページよりお問い合わせください。
お客様のお困り事を解決し、提案できる営業スタッフがお待ちしております。

今後も鋳造に関する情報を発信いたしますのでお気軽にお問合せ下さい。

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