第34回幾何公差について

第34回
幾何公差について

公開日:2025年08月22日
更新日:2025年08月22日

今回は幾何公差について説明いたします。

1.幾何公差とは

幾何公差とは形状や角度、位置関係等の許容範囲を指示して規定するものです。
長さや厚みだけでなく円の中心位置等も明確に指示ができ設計者の意図を正しく伝えられる為、
設計通りの加工や検査ができます。

2.寸法公差と幾何公差

部品の設計や製造において、精度は非常に重要です。
しかし、「寸法公差」だけで本当に必要な精度を伝えられるでしょうか?
たとえば、軸と穴の部品が組み合わさる時、「寸法は合っているはずなのにうまく回らない」「がたつく」といった
問題が起きることがあります。
それを防ぐのが、「幾何公差」です。
これは、部品の形状や位置、角度などの幾何学的特性に対して公差(許容範囲)を定める設計手法です。

3.幾何公差の種類

①真直度:まっすぐさの許容範囲
②平面度:平らさの管理
③円筒度:円筒形の精度
④位置度:ある基準からの正しい位置
⑤同心度:中心軸の一致性
⑥対称度:中心面に対する対象性
これらを明示することで、図面を見た製造者が「何をどこまで守ればいいか」がより明確になります。

4.なぜ幾何公差が必要なのか

①コスト削減
 必要な機能を満たす最小限の精度を指定することで、無駄な加工コストを削減できます。
 例えば、±0.01 mmの寸法公差を全体に指定するより、機能上必要な箇所だけに幾何公差を加えた方が合理的です。
②機能保証
 幾何公差は、機械の組み立てや動作に直結する「関係性(関係寸法)」を管理できます。
 寸法公差だけでは見えない、機能面の品質を守ることができます。
③国際標準
 幾何公差は国際規格で定義されており、グローバルな製造でも誤解なく伝えられます。

幾何公差は、単なる“公差指定”ではなく、設計者が部品の機能や目的を製造者に伝える手段です。
過剰な精度はコストを押し上げ、緩すぎる精度は品質を損ないます。
だからこそ、「どこをどう管理するか」を明確にできる幾何公差は必要不可欠となります。

光軽金属工業株式会社

光軽金属工業株式会社 編集部
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