第25回
ダイカスト 離型剤について
公開日:2024年09月25日
更新日:2024年09月25日
ダイカストの鋳造工程に不可欠な離型剤についてのお問合せが多くありましたので、
今回は離型剤について説明いたします。
1.離型剤とは
離型剤とは、金型内の製品を取出す際に離型抵抗を緩和する油となります。
それ以外に、金型温度の上昇を抑制し焼付きを防止します。
よりわかりやすく説明すると、お肉を料理する際に油を引かないとフライパンとお肉がくっつきます。
ダイカストの場合は、お肉が製品、フライパンが金型となります。
ダイカストに離型剤は不可欠で、良品を生産する為の重要な項目となります。
2.離型剤の種類
①水溶性離型剤
離型剤原液を水で希釈し使用する。
水分は金型温度で蒸発し離型剤のみが金型に付着し残る仕組み。
ミスト状に塗布する為、スライド中子の裏側等に回り込む為、複雑な製品に適している。
半面、水分が残ると鋳巣・湯じわの原因となる可能性がある。
一般的に多く使用される。
②油性離型剤
離型剤の原液を直接塗布する。
水分を含まない為、金型の冷却効果はない。
また、水溶性離型剤の様にミスト状にはできない為、技術的に難易度が高い。
水分が残らない為、鋳巣・湯じわの発生懸念はしなくてもよい。
③粉体離型剤
離型剤の粉を塗布する。
油性離型剤と同様に金型の冷却効果はない。
均一に付着させることが難しいが鋳巣・湯じわの心配はなし。
金型、もしくはスリーブに専用塗布装置が必要となる。
各種離型剤の比較表は以下となります。
3.離型剤塗布装置
①汎用カートリッジ式
プログラムにより離型剤を噴射する向き・角度の再現性が高い。
後述の専用式と違い、塗布位置を変えて複数回塗布する為、鋳造サイクルが長くなる。
②専用カートリッジ式
金型形状に合わせた専用形状となる為、一括塗布により鋳造サイクルを短縮できる。
費用は高額となる。
③銅パイプ式
金型形状に合わせ銅パイプを曲げて塗布位置を調整する。
費用は抑えられるが、パイプの老朽化管理と詰まりによる塗布量維持で再現性は低い。
4.離型剤による不具合改善事例
焼付き:金型が高温になることで製品が金型にくっつく現象。
水溶性離型剤であれば塗布量を増やし、金型温度を下げることで対応可能。
歪み:上記焼付きにより金型から製品を取出す際に離型抵抗で製品が変形する不具合。
焼付きと同様に水溶性離型剤であれば塗布量を増やし、発生を防止可能。
離型剤でお悩みの場合はホームページよりお問い合わせください。
お客様のニーズをヒヤリングさせていただき工法を提案させていただきます。
今後も鋳造に関する情報を発信いたしますのでお気軽にお問合せ下さい。
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