第32回
ダイカストの金型構造について
公開日:2025年06月30日
更新日:2025年06月30日
今回はダイカストの金型構造について説明します。
ダイカストの金型構造
ダイカスト製品の品質を左右する要素の一つが、「金型」です。
今回はダイカストにおける金型構造を説明します。
ダイカスト金型は、以下のような構成要素から成り立っています。
1. 固定型と可動型
金型は2つのブロックに分かれています。
固定型は射出装置と接続され、可動はしません。
可動型は射出・取出しの際に開閉します。
射出時には閉じて金型内を密閉し、溶湯が固化した後に開いて取出しロボットが製品を取出します。
2. 主型と入れ子
金型の外部が主型で、金型内側の製品部を入れ子と言います。
主型:入れ子を固定するホルダーの役割があります。溶湯は直接触れない為、安価なFCD等が使用されます。
入れ子:主型内に取付け製品形状部を成形する部位となります。材質はSKD等の合金工具鋼が使用され耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱性が高いことが特徴です。
金型更新は主型と入れ子を一式で更新させていただいておりますが、予算等の都合で製品部である入れ子のみを更新することも可能です。
主型・入れ子以外にスライド中子を使用し、複雑形状にも対応できます。
3. ランナー・ゲート・オーバーフロー
溶湯を金型内に流す通路であるランナーと、ランナーと製品部との境であるゲートは流動性に大きく影響を及ぼします。
オーバーフローは、注湯時に先行して流れる不純物を含む溶湯やガスを製品外に追いやる為の不要部で、設計が不適切であれば鋳造欠陥の原因となります。
型構造が品質に与える影響
・寸法精度
金型の膨張や摩耗、冷却の設計によって、寸法精度に影響が出ます。
例えば、冷却の配置は、局部的な温度差を防ぎ、収縮の偏りを最小限に抑える効果があります。
・離型性と型寿命
適切な抜き勾配や表面処理により、製品がスムーズに取り出せるとともに、金型の摩耗を抑えることができます。スライド中子の構造も離型性に直結します。
型寿命については、第16回コラムをご確認下さい。
・サイクルタイムの最適化
金型構造が冷却効率や動作効率に直結する為、生産スピードにも影響します。
冷却の設計や、部品の複雑さに応じた可動構造の簡略化がカギです。
当社では流動解析と凝固解析を用いて、最適な位置への冷却を設置し、鋳造サイクルタイム削減と鋳造作業の自動化に取組んだ金型構造の設計を行っております。
当社ダイカスト情報については、こちらをご確認下さい。
金型構造でお悩みの際はお気軽にお問合せ下さい。
光軽金属工業株式会社

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